スクール・コンサルの選び方

連鎖販売取引とは?マルチ商法の4要件とルールをわかりやすく

連鎖販売取引とは?マルチ商法の4要件とルールをわかりやすく

「連鎖販売取引って、結局どういう取引のこと?」。先に結論をお伝えすると、連鎖販売取引とは、人を販売員として勧誘し、その人にさらに次の人を勧誘させることで、販売の組織を連鎖的に広げていく取引のことです。一般には「マルチ商法」と呼ばれることが多く、特定商取引法で厳しいルールが決められています。

この記事では、2026年10月時点の消費者庁「特定商取引法ガイド」の内容をもとに、連鎖販売取引に当たる4つの要件、ネズミ講との違い、事業者に課されたルールと消費者を守る仕組み、勧誘されたときの判断軸を、専門用語をかみくだいて整理します。

連鎖販売取引に当たる4つの要件を並べた図。1は商品やサービスを販売する事業であること、2は再販売やあっせんをする人を勧誘すること、3は紹介料や販売の利益などの特定利益が得られると誘うこと、4は入会金や商品購入などの特定負担を伴うこと。4つがそろうと特定商取引法の連鎖販売取引に当たる
特定商取引法では、4つの要件がそろう取引を連鎖販売取引としています(2026年10月時点の消費者庁「特定商取引法ガイド」をもとに作成)

連鎖販売取引とは?ひとことで言うと「紹介で広がる販売組織の取引」

連鎖販売取引は、特定商取引法という法律の中で決められている取引の種類の一つです。消費者庁の特定商取引法ガイドでは、個人を販売員として勧誘し、その個人に次の販売員を勧誘させる形で、販売組織を連鎖的に広げていく商品やサービスの取引と説明されています。

「マルチ商法」と呼ばれることが多い

ニュースや会話では「マルチ商法」「マルチ取引」という言葉がよく使われます。法律上の正式な名前が「連鎖販売取引」で、ほぼ同じものを指していると考えてよいでしょう。

取引そのものが禁止されているわけではない

連鎖販売取引は、それ自体が法律で禁止されているわけではなく、厳しいルールを守ることを条件に行われている取引です。一方で、ルールを守らない勧誘や、うその説明による契約は規制の対象になり、行政処分や罰則の対象にもなります。

POINT連鎖販売取引は「違法かどうか」ではなく、「法律のルールを守っているかどうか」で見ることが大切です。

連鎖販売取引に当たる4つの要件

特定商取引法(第33条)では、次の4つがそろう事業を「連鎖販売業」としています。言い換えとあわせて見ていきましょう。

法律上の要件 わかりやすく言うと
物品の販売や役務の提供などの事業 商品やサービスを売る事業である
再販売・受託販売・販売のあっせんをする者を 売る側・紹介する側に回る人を集める
特定利益が得られると誘い 紹介料などの利益が得られると誘う
特定負担を伴う取引をする 入会金や商品購入などの負担がある

「特定利益」とは

特定利益とは、組織に入って誰かを勧誘したり商品を売ったりすることで得られる、と説明される利益のことです。たとえば「入会すると割引価格で商品を買えるので、他の人に売れば利益になる」「人を紹介して入会させると紹介料がもらえる」といった誘い方が当てはまります。

「特定負担」とは

特定負担とは、取引に参加するための条件として求められるお金の負担です。入会金、保証金、サンプル商品、商品代など、名目を問わず、取引のために何らかの金銭の負担があれば特定負担に当たります。金額の大小も問われません。

また、扱われるものは形のある商品に限りません。国民生活センターの相談事例のページでも、健康器具や化粧品のほか、学習教材や出資など、さまざまなものがマルチ取引で扱われていると紹介されています。

マルチ商法・ネズミ講との違い

連鎖販売取引とよく混同されるのが「ネズミ講」です。似ているように見えても、法律での扱いは大きく異なります。

比べる点 連鎖販売取引(マルチ商法) ネズミ講(無限連鎖講)
中心にあるもの 商品やサービスの取引 後から入った人が出したお金の配当
根拠の法律 特定商取引法 無限連鎖講の防止に関する法律
法律での扱い ルールを守れば行える 開設・運営・加入・勧誘が禁止

ネズミ講は、商品やサービスの取引ではなく、後から加わった人が出したお金を、先に加わった人へ配当していく仕組みです。参加者が無限に増え続けない限り成り立たないため、法律で組織そのものが禁止されています。

「商品やサービスがあるかどうか」が、連鎖販売取引とネズミ講を見分ける大きなポイントです。ただし、実際には商品が形だけで、実態はお金の配当が中心という仕組みもあり得ます。名前や見た目だけで判断せず、お金の流れを確かめることが大切です。

連鎖販売取引のルール|事業者の義務と消費者を守る仕組み

連鎖販売取引には、事業者が守るべきルール(行政規制)と、消費者が契約をやめられる仕組み(民事ルール)の両方が決められています。

事業者に求められること

  • 氏名などの明示: 勧誘の前に、統括者などの名前、勧誘が目的であること、商品やサービスの種類を伝える
  • 禁止行為: 重要なことを伝えない、うそを言う、威圧して困らせる、目的を隠して人目のない場所に誘って勧誘する、などは禁止
  • 広告のルール: 特定負担や特定利益の計算方法などを表示する。事実と大きく違う広告や誇大広告は禁止
  • 書面の交付: 契約の前に「概要書面」、契約の後に「契約書面」を渡す

クーリング・オフは20日以内

連鎖販売取引で、店舗を持たない個人として契約した場合は、法律で決められた書面を受け取った日(商品の引き渡しが後なら、その日)から数えて20日以内であれば、クーリング・オフができます。クーリング・オフは、書面だけでなく電子メールなどの電磁的記録でも行えます。送ったメールや画面のスクリーンショットなど、記録を残しておくことがすすめられています。

20日を過ぎても使える仕組み

  • 中途解約: クーリング・オフの期間を過ぎても、将来に向かって契約を解除して退会できる
  • 商品の返品: 入会から1年以内、引き渡しから90日以内で、未使用など一定の条件を満たす商品は、販売契約を解除できる
  • 取消し: 事実と違う説明や、わざと事実を伝えないことで誤解して契約した場合は、取り消せることがある
POINT連鎖販売取引には、契約前の書面、20日間のクーリング・オフ、その後の中途解約という、段階ごとの仕組みがあります。自分の契約に当てはまるかは、公的な窓口で確かめましょう。

副業や学びの勧誘で見かけたときの判断軸

連鎖販売取引の話は、健康食品や化粧品だけのものではありません。副業や学びの情報を集めていると、知人やSNSを通じて、紹介制度のついた誘いに出会うこともあります。

立ち止まって確かめたいサイン

  • 最初は勧誘の目的を言わずに、食事やセミナーに誘われた
  • 「紹介すれば元が取れる」と、紹介による利益の話が中心になっている
  • 概要書面を受け取る前に、申し込みや支払いを急がされる
  • 「今日だけ」「枠が少ない」と、その場で決めるよう迫られる

判断の前に確かめたいこと

  • 誰が統括している事業なのか、名前と連絡先が書面で分かる
  • 紹介料や利益の計算方法、負担する金額の全体が書面に書かれている
  • クーリング・オフや中途解約の方法が、書面にはっきり書かれている
  • 持ち帰って考える時間を、自然に受け入れてもらえる

スクール運営の立場から見る「仕組みの確認」

学びのサービスを運営していると、受講を検討している方から「紹介すると何かもらえるのか」「誰かを誘わないといけないのか」と質問を受ける場面があります。こうした質問は、相手を疑うためのものではなく、取引の仕組みを確かめるための大切な確認です。

サービスの中身の説明よりも、人を紹介する話や紹介で得られる利益の話が先に来る場合は、取引の仕組みそのものを書面で確かめておくと安心です。説明会で聞いておきたい質問は、スクールの無料説明会で聞くべき質問10個と持ち帰る判断材料にまとめています。選ぶときの考え方は、副業向けのスクール選びで確認したい6つの判断軸や失敗しないための選び方のポイントもあわせて参考にしてください。

迷ったときの相談先

勧誘を受けて迷ったときや、契約をやめたいときは、消費者ホットラインの「188」に電話すると、近くの消費生活センターなどの窓口を案内してもらえます。連鎖販売取引のルールの詳細は、消費者庁の特定商取引法ガイド 連鎖販売取引で確認できます。

契約書面ややりとりの記録は、捨てずに保存しておきましょう。自分の契約がどの取引に当たるか、どの仕組みが使えるかは、経緯によって変わるため、自己判断せずに公的な窓口や弁護士などの専門家に確認してください。なお、この記事は2026年10月時点の公開情報をもとにしており、法改正などで内容が変わる場合があります。

CLOUD
運営

運営からひとこと

副業やビジネスを始める際は、取引の仕組みや法律上のルールを正しく理解すること。紹介制度を伴うビジネスでは、契約条件、解約方法などを事前に確認し、十分に納得したうえで判断するようにしましょう。

よくある質問

Q. 連鎖販売取引に参加すること自体は違法ですか?

連鎖販売取引そのものは法律で禁止されているわけではありません。ただし、事業者には書面の交付や禁止行為などの厳しいルールがあり、それを守らない勧誘は規制の対象になります。一方、ネズミ講(無限連鎖講)は、加入や勧誘も法律で禁止されています。

Q. 友人から誘われた場合でもクーリング・オフできますか?

店舗を持たない個人として連鎖販売取引の契約をした場合は、誘った相手が友人や知人であっても、書面を受け取った日などから20日以内であればクーリング・オフの対象になります。当てはまるかどうかは、188などの公的な窓口で確認すると安心です。

Q. 商品を受け取っていなくても特定負担に当たりますか?

特定負担は、入会金や保証金なども含め、名目を問わず取引のために求められるお金の負担を指します。商品を受け取っているかどうかではなく、参加の条件としてお金の負担があるかどうかが一つの目安になります。

まとめ

この記事のまとめ

  • 連鎖販売取引とは、人を勧誘して販売員にし、さらに次の人を勧誘させて組織を広げる取引で、一般にマルチ商法と呼ばれる
  • 商品などの販売事業、売る側・紹介する側への勧誘、特定利益、特定負担の4つがそろうと当たる
  • ネズミ講は商品の取引ではなくお金の配当が中心で、組織そのものが禁止されている
  • 書面の交付、20日間のクーリング・オフ、中途解約などのルールがある
  • 迷ったら書面を持ち帰り、188などの公的な窓口に相談する

CLOUDの資料を無料で請求する

学べる内容やサポート体制をまとめた資料を、フォーム送信後の自動返信メールでお送りします。

無料で資料請求する

監修者

長谷川優太

長谷川優太

株式会社CREA 代表取締役

プロフィールを見る
南雄也

南雄也

株式会社REAL 代表取締役

プロフィールを見る
資料請求はこちら